2003年08月09日
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天使な小生意気 19 西森博之 小学館

Written By: 川俣 晶連絡先

 天使な小生意気という話を要約すると、いじめられている魔法使いの格好をした男を助けた少年が、魔本の力によって最高の美女になって、いろいろな出来事が起こるということになりますが。

 男の子が女になってしまう話といえば、ちょっとエッチでドキドキで戸惑いな感じになるのが定番です。たとえば、弓月光の僕の初体験でもいいし、大林信彦監督の転校生でも、良いですが、そういう要素が含まれるのが普通と言えるでしょう。

 しかし、この天使な小生意気に関して言えば、エッチもドキドキも戸惑いも希薄。まあ、ドキドキや戸惑いはあるにせよ、それは男の子が女の子になってしまうことによるものとは、ちょっと違うように思います。

 そのかわりにあるのは、不良やチンピラが殴り合うような男のドラマです。

 まあ、それが面白いからわざわざ読んでいるわけですが。表紙の雰囲気から、美女が活躍する甘い話を期待すると大外れという危険な罠も待ちかまえていると言えますね。

 それはさておき。この19巻ですが。卑劣な罠にはまって捕まったメグ団の一行。しかし、したたかに脱出して美木さんを助けに行くわけですね。

 中でも良いのは、ひどい目に遭わされる仲間を見せられながら、けして自分を犠牲にして彼らを助けようとしないところですね。彼らが勝つことを信じて自分も耐えている感じが凄く良いですね。

 それから、途中から自ら別行動を取る藤木と安田。殴り合いには強くなくても、必死に男を見せるところが、なかなか泣かせますね。

 というわけで、意外とこういう作品も好きだったり……。たぶん、20巻が出たらまた買うでしょう。